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コラム

希望は生まれる

- 認定教育プログラムを始めます -

2021/12/28 NPO 法人 スピリチュアルケア研究会ちば
理事長  佐藤 俊一


新型コロナウィルスとの「共存」の日々が続いていますが、皆様におかれてはいかがお過ごしでしょうか。当初は思いもしなかったことですが、この共存は長い期間に及ぶことになると多くの人が感じているでしょう。また、出口が見えないことでの不安が大きくなり、希望がもちにくい状況ともなっています。

他方で、私たちは、新型コロナウィルスのせいにして、希望の生まれる可能性を自ら失うことをしていないでしょうか。現在の不自由な生活の中で、周りの人がいつもとちがうと感じたとき、気持ちが動いて応ずることができているでしょうか。生き方を問いかける偉大な先駆者フロム(E. Fromm/希望の革命)は、「強い希望を持つ人は新しい生命のあらゆる兆候を見つけて、それを大切に守り、まさに生まれようとするものの誕生を助けようと、いつでも準備をととのえている」と指摘しています。そして、私たちは実際に応答することで生き生きとなるのです。そうした対人にかかわる人材が育っていくと嬉しいです。その実現に向けて嬉しいニュースをお届けします。

本会のこれまで地道に続けてきた活動が評価され、2021年度の日本スピリチュアルケア学会の総会において、新たに認定プログラム機関として承認されました。具体的には、臨床スピリチュアルケア師の養成を行うことになります。そのためホームページおいて、従来の連続研修講座、公開講座等に加えて、「スピリチュアルケア専門講座」の開講についてお知らせをしています。奮って受講いただけると、ありがたいです。

なお、上記の取り組みは、これまでの本会の方針を変えるものではありません。資格認定を行っていくと同時に、資格とは関係なくスピリチュアルケアを学んでもらい、実践したい市民を啓発し、地域社会において目覚めた市民の育成を大切にして活動していきます。一科目でも受講可能ですので、関心のある方の受講をお待ちしています。

フロムは、50年以上も前に前著で「分かれ道」にいると、人間性と社会経済システムの関係を論じています。その状況は今でも続いており、さらに新型コロナウィルスとの共存でどのようにするのか、やはり「分かれ道」にいます。今こそ、希望を生み出すスピリチュアルケアが求められています。先に示したように、私たちは「生まれようとするものの誕生を助けようと、いつでも準備をととのえている」人材を育てていきたいのです。希望が生まれる瞬間を一緒に体験してみませんか。何もしないで均質化された社会に従って生きるのかそれとも自分の大切にしたいことへ声を上げて生きるのか、まさしく、私たちは選択を問われており、そのことに具体的に応えていきましょう。