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コラム

2025年会員交流会から

私たちの臨床実践の歩み

共にいる

 相生千登世

私は2016上智大学のグリーフケア研究所人材養成講座での一期生として資格を取得して2022年1回目の資格更新をして現在に至ります。

活動の場は主に2箇所あります。
1:自院であります循環器専門クリニック
2:2011東日本大震災の被災地、福島県双葉郡で牛の保護活動をしています。
同時に「ふるさとと心を守る友の会」でボランティアとして作業を通しての傾聴活動を実施しています。

まずクリニックでは一スタッフで看護師ではありますが、運営側で事務や連絡調整などが主ですので、その日の予約状況やスタッフ配置によっては時間的なものまたは立ち位置など比較的自由に設定できる状態にあります。

その中で私自身のケア師としての存在・活動は、スタッフへオリエンテーションの機会を設けて周知していただき、情報を共有しています。患者さんは外来という場で、事務・ナース(検査や問診)・院長(診察)と3つの接点を経ます。その中で患者さんの様子や言動から薬処方だけではなく、一歩踏み込んだケアが必要な方が見えてきます。各所からの情報を得て、ケアが必要と考えられる場合、診察後そのまま席を譲り受けて傾聴します。多くは高齢者が対象で、グリーフも多岐に渡り死別や社会・家族からの孤立、健康不安や生き甲斐の喪失などです。

お一人10〜20分。すでにポイントが絞れているのでそこに焦点を当てて話していただけるように居る、そのようなスタイルでケアを実践しています。

 福島の被災地は ケアの活動の中で繋がった場です。4〜5年携わり帰宅困難地で被災した牛の保護活動をしています。

 ここでのケア対象者は、惨状を見てきた地元の方・運営スタッフ・全国から来られるボランティアの方々です。すでに震災から14年が経過していますが、今も残された家屋の撤去や被災者の高齢化、異常気象による新たな災害に遭うことで拠り所を無くす方が少なくありません。牛の世話や餌作り、里山再生などの作業を共にしながら自然な形で傾聴することを重ねています。

何より、私自身がそこでの活動を通して、寄り添うこと、そして自己成長を通じ互いにケアしたりされたりを経験する大切な場として ともに居させて(being)いただいています。

以上、活動報告とさせていただきます。

一人ひとりの輝きと出会い

増本真美子

千葉市の病院でのボランティア活動

緩和ケア病棟で私達ボランティアは、患者さんの日々のサポート、各種イベントなどの活動を通じて患者さんやご家族が少しでもリラックスできるように、そして、社会とのつながりを感じていただけるようにサポートしています。現在定期的に活動中のボランティアは、外来案内、図書、園芸、病棟のサポート、ティーサービスやアロマボランティア、アニマルセラピー、メイクアップ講座などがあります。また、多くの団体、個人からケアグッズなどが提供されています。

私は毎週1回外来案内、病棟のサポート、緩和ケア病棟でティーサービスに関わっています。また、数カ月に一回のアニマルセラピー、メイクアップ講座にもスタッフとして参加しています。

1年半以上関わってきて、今、一番感じているのは、患者さんたちの輝きです。先日、ティーサービスの時に、コーヒーを持って行った方もそうでした。いつもおいしいコーヒーをありがとうと言われ、カップを持って、「ほら!いい香りだね」とおっしゃいました。私にもその香りが感じられ二人で笑いました。ティーサービスの日に合わせてヘルパーさんに小さな菓子パンを買ってきてもらったよ、と嬉しそうに話された方もいました。

先日のアニマルセラピーで、ネコがベッドに来た時の、患者さんのあふれるような優しい笑顔、思わず、「こんなに美人だったんだ」と思うほどの笑顔でした。メイクアップ講座でピカピカになった方の目の輝き。バイオリンのミニ演奏を涙を抑えてじっと聞かれた男性などみんなみんなこうしたいという思いや生きている感じが溢れて、一人ひとりの存在が輝いていました。

一時、皆さんの輝きに圧倒され、私がここにいる意味があるのかな、話をお聴きするなんておこがましいことだ、という気持ちになりました。迷うことも多かったのですが、今は、患者さんや家族の方が何気なく口にされる言葉を大事に心に受け止めようと思っています。

先日、車いすを押しながらお聴きした言葉ですが、「この病院は、毎日通勤時の景色の一部だったのに、まさか自分がここに来るなんて思わなかった。なんで俺がこんな病気に!」と長い廊下を歩きながら何回も話す方がいました。顔を合わせている時よりも、後ろから押している時の方が、素直な言葉が出やすいように思います。何気なく宙に放たれる言葉、一つ一つがその人を現わしていると思います。私はそんな言葉を大切に掴みたいと思います。

また、ボランティアの方々の話も聞くことがあります。ボランティアの中には、この病院を利用された方がいます。一人一人事情も考え方も違うけれど病院に通っている時に、ボランティアの方の笑顔に救われたと話されていました。なぜ、ここの病院でボランティアをされているのか、わかるような気がしました。一人ひとりがここに関わることを大切にされています。

ここでは、色んな形で、その方のスピリチュアリティが現わされていると思います。日頃は心の奥に入れて蓋をしていても生きられるけれど、命が突き付けられた時、痛みを伴いながら自分のスピリチュアリティを見るのでしょうか。私はこう生きるという強い思いが出てくるのでしょうか。もしかしたら、それが私には輝きとして感じられるのかもしれません。今、書きながら、そんなことを思いました。

私の臨床実践は迷いながら、患者さんに教えていただきながら一緒に呼吸をしている感じで日々続いています。

臨床実践の魅力

児島玉井

資格取得から実践活動を始めるまで

最初に資格取得に至るまでの経過を少しお話しさせていただきます。

スピリチュアルケア研究会ちばで専門講座が開講したのは2022年のことでした。その年、専門講座を受講しながら臨床実習にも行くことができました。今振り返ってみますと、専門講座でのリフレクションペーパーの記入、実習先でのその都度の記録、会話記録の作成など、レポートに追われた日々でした。3年前のことですが、今でしたらとてもできないことだったように思われます。

実習の途中では、必要とされる実習時間の120時間に足りなくなることがわかりました。当研究会の先生方が急遽実習先を探してくださり、なんとか120時間に漕ぎつけたということもありました。事務局では、資格試験の受験は研究会ちばでは初めてのことであり、細部に至るまで応募書類を入念にチェックしてくれました。このように先生方や皆さまからの後押しをしていただき、受験まで漕ぎつけたのです。

無事に合格をし、その折に、佐藤俊一先生からいただいた言葉を忘れることができません。「これからはスピリチュアルケアの実践をしていかなくてはね。」とおっしゃられました。「実践」という言葉がこころに強く残りました。

その後

実践先を捜すべく、ネットで検索をしていたおりにある「自死遺族支援グループの傾聴電話」で、相談員養成講座の受講生を募集していることを知りました。それまで他の機関でも電話相談員をしていましたので、気持が動きました。4カ月ほど講座を受講後、相談員に認定されました。現在相談を受けているのは週3日の限られた時間です。基本的には月1回担当することが義務づけられていますがそれでも都合からお休みされる方もおられ、常に相談員不足の状況で、月に2-3回担当される方もいらっしゃいます。

電話口の向こう側で、話すかどうか躊躇っていた方がゆっくりと口を切られ、やがて堰を切ったように話し出される時があります。話し終わった瞬間に「今日は久しぶりに思いっきりお話しできました。」と明るい声でおっしゃいます。そんな時にはこちらの気持まで軽やかになります。たまに電話がかかってこない時がありますが、その際に思いがけなく他の相談員の方から深いお話しを伺うことがあります。そんなひと時も私自身にとりましてかけがえのない時間となっています。

2024年9月から東京都下にありますカトリック系の病院へボランティアで伺うようになりました。約100床の療養型の病院です。創始者は明治期に来日された神父様で、以来約50年にわたり社会福祉に貢献された方だそうです。病棟内にはパストラルケア室があり、そこに指導スピリチュアルケア師とシスターがいらっしゃいます。患者さんに対してパストラルケアをする病院なので、職員を大切にしてくれることだろうと、近年は若い方の応募が増えているということを伺いました。ゆったりと広い廊下を挟んで両側に病室がありますが、病室の窓からは木立の緑が目に優しく映っています。

そこにはスピリチュアルケアのボランティアとして月2回伺っております。また、今年は研究会ちばから実習生もお世話になっています。文字盤で会話を交わす方から「またきてね」との言葉をいただいたり、又10数回面談をさせていただいた方は「次回はいつ来ますか」と必ず聞いて下さいました。現在は退院されて様々なケアをうけながら一人暮らしをされているそうです。

ボランティアを始めたころには、お話しさせていただく患者さんに出会うまでを難しく感じていましたが、最近では看護師さんから声をかけていただき、「○○さんとお話ししていただけますか」と言ってくださることもあります。様々なことが、ボランティアに毎回伺う際の励みになっていて、健康である限りできるだけ続けていきたいと思っています。